Acoustic-Research - AR-M2

AR-M2は、2015年4月に発売された、Acoustic Researchによるハイレゾ再生対応ポータブルオーディオプレーヤー(DAP)。定価は¥138,000(税抜)。

最大192kHz/24bitのWAV/FLAC/ALAC、DSD 5.6MHz/2.8MHz(PCM変換)、DXD(PCM変換)、APR、AIFFの再生に対応。

内蔵メモリーは64GBで、加えて、最大128GBまでのマイクロSDXCカードが使用できます。また、USB-OTGストレージにも対応、USB-HDDやUSBメモリーとも接続できます。HDDはFAT32とexFATをサポート。

OSにはAndroid 4.3、プロセッサーにはQualcomm社 Snapdragon 400 MSM8926を搭載したAndroidベースのDAP。ディスプレイは解像度720×1,280の5インチ。

Androidのオーディオフレームワークもサポート。サードパーティーのアプリも使用することが可能。ただしGoogle Playストアは使用できないのには注意が必要です。

まるでスマホのような見た目で、実際、簡単にスマホ化できそうなスペックを備えているAndroid端末なのですが、IEEE 802.11b/g/nの無線LAN機能は備えていますが、3G/LTEなどには非対応で、SIMカードスロットも無いので、スマホにはなりません。

外形寸法は136×70×15mm(縦×横×厚さ)とスマホサイズながら、重量は240gとスマホとは違う重量感。

すべてを音質に捧げるためだけに、この内容を備えているという孤高の、しかし世間一般からしたら少し変わっている?音楽プレーヤーです。アンドロイドなのにGoogle Playストアは使用できないのも一般的には理解不能でしょう。

DACチップにはバーブラウンのPCM1794Aを搭載。サンプリングレートコンバーターには、192kHz/24bit対応非同期ステレオサンプルレートコンバーターのシーラス・ロジックCS8422を搭載。クロックには44.1KHz系(44.1/88,2/176.4kHz)専用と48KHz系(48/96/192kHz)専用の発振子を2基搭載。信号に完全同期したクロックの切換えを実現。

オペアンプにはバーブラウン OPA2134を2基搭載。また、ヘッドホンアンプには、電流帰還型の「TI TPA6120A2」を採用。さらに、コンデンサーにはAVX社の大型コンデンサーを多数搭載するなど、採用部品にもこだわっています。

また、最近一般的なデジタルボリュームではなく、アナログポテンションメーターによるボリューム調整機能を持っているのも特徴。ボリュームダイヤルで操作するギミックもスマホ的な外観を考えると凝っています。

出力には、ヘッドホン出力に加えてライン出力も装備。DAC的にも使えます。

端子は、底部にイヤホン出力(ステレオミニ)、USB端子、ライン出力(ステレオミニ)を装備。

バッテリー容量は4,200mAhで、再生時間は192kHz/24bitのPCMで約9時間、DSD128再生時で約7時間。充電時間は約4時間。

音楽再生アプリとして、Android OSでも高音質再生できるという独自の「AR Music Player」をプリインストール。
各音楽ジャンルに合わせた設定を持ち、マニュアル調整も可能なイコライザー機能も搭載。

本機を今取り上げるのには、2016年2月13日に、オーディオイベント「ポタ研2016」で、本機の弟機・AR-M20が発表されたからです。

AR-M20は価格を約10万円程度とリーズナブルにしながら、外観はAR-M2とほとんど同じ、再生可能ファイルや機能も同等、とかなりお得感のある印象のモデル。

しかし、AR-M2を特徴づけるアナログボリューム、オペアンプの搭載も省略。DACチップはAR-2がバー・ブラウンのPCM1794Aから、PCM5242に変更されているなど、AR-M2で採用されたこだわりの重要部分が大きく省かれています。

だからといって、音質的に大きく劣るわけではなく、音のキャラクターの違い程度のような評判で、こうなると、どちらを買えばいいか迷いそうです。

ポタ研2016では、AR-M2用のアクセサリーとして、インピーダンスケーブル「AR-AC7IA」も出展されました。出力が高く、組み合わせるイヤホンによってはノイズを感じる場合もあるAR-M2のために、抵抗を入れた本ケーブルによって対処するのだというもの。

AR-M2は能率の高いイヤホンではノイズが乗ることがあることを示唆しています。これから買う人はこのあたりのことを考慮して買われたほうがいいかもしれません。

しかも、このノイズ問題?はAR-M20のほうはない、というのです。AR-M20は後発の有利性があるということでしょうか?

このメーカーに興味のある人は両方を同じ条件で聞き比べるのが良さそうです。その前にDAPに10万円以上の予算があることが条件ですが。あと、ヘッドホンはバランス接続対応でなくて良いという人向けです。