PHILIPS_Fidelio_X1
過去に発売されていたオーディオ製品を紹介。PHILIPS Fidelio X1 フィリップスのヘッドホン オープン価格実売3.8万円程度(当時) 発売2013年10月 中古市場でも注目の機種として紹介。

世界に57名しかいないフィリップスの誇るのサウンドエンジニア「ゴールデンイヤー」が初期段階から最終審査まで一貫して関わって開発したというフィリップスの上級ヘッドホン「Fidelio」シリーズの最上位ヘッドホン。ダイナミック型の開放型としています。

50mmネオジウムユニットを搭載。ハウジング部には、スピーカーの後方で増加する空気圧を排除するため空気が通るオープンバック設計を採用し、振動板に十分な可動域を確保。これにより音の透明感が向上し、なめらかな高音域を再生できるとしています。また、二重構造のイヤーシェルにより共振や振動を軽減し、音の細部まで再現できるとしています。

イヤーパッド部には、低反発フォームと熱を分散させるベロア素材を使用することで、長時間の着用でも疲れにくく、心地よい装着感を実現しています。上質な素材により耐久性も高いものです。また、ヘッド上部の内側にある、メッシュ素材を用いたハンモック状のバンドにより、ヘッドバンドを最適なポジションに調整するこもできます。

独特のレトロモダン風なデザインも独特。また、品位感の高い仕上がりも魅力です。

再生周波数帯域が10~40000Hz、インピーダンスが30Ω、感度が100dB、最大入力が500mW。いわゆるハイレゾ対応の広帯域。また、ヨーロッパメーカーの高級開放型にありがちなハイインピーダンスということもないのも特筆もの。重量は440g。これは重いですね。

ケブラーでできたケーブルは3mで着脱可能。6.3mm端子で3.5mmアダプターを付属します。

音はさすがにCD、SACDのオリジネーターであると同時に、CDプレーヤーの数々の名機を送り出したブランド、さらには、フィリップスレーベルでのクラシック録音、という背景もあり、価格を超えた素晴らしい音質との評価を幅広く得ていました。もちろん、クラシックなどのアコースティック楽器も得意です。ワイドレンジで高分解能、高い空間性と空気感を備えているので、ハイレゾ音源の特徴も高度に描写できます。開放型としては周囲の音の侵入が少ないという特徴もあるようです。

これで価格が高かったら、高いからよいのは当たり前となりますが、高級開放型ヘッドホンとしては高価すぎない3万円台後半で買えたというのも大きいようです。

価格コムのレビューの平均点も驚異の4.91点(21人)。間違いなく本物の実力派。しかし、残念ながら本機はすでに生産完了。2015年1月には早くも後継機Fidelio X2が登場します。見た目はほとんど同じのマイナーチェンジ機です。

この背景には、音以外の要因もあったようです。まずは装着感が悪い人が結構出るような設計。ヘッドバンドの伸縮幅が狭いために、頭の大きさによってはうまく装着できないユーザーが出たらしいです。日本人よりも大きな欧米人を基準にした製品のはずなのに意外。また、イヤーパッドが交換不可なのもマイナス。今時の高級ヘッドホンでは常識ですが、フィリップスでは十分な耐久性があると判断したようです。次に付属ケーブル。リケーブルによる変化が大きいのはあるにしても、付属品ケーブルの音質があまりよくないというイメージが愛好家間ではできたようです。

最後に音質。非常に高く評価する人も多い一方で、暗いとか籠っているとかいう方向でマイナスイメージを持った人がいるようです。さすがにこの音質部分はメーカーの音作りの部分で、本機は基本性能を確保したうえで、十分な音質であったと思います。どうやら往年のフィリップストーンを彷彿とさせるマイルドで優しい音調を狙ったのでしょう。

フィリップスでは後継機・X2では上記のポイントを意識した改良(変化)を施しました。結果、装着感、メンテナンス性は向上しました。ただ、音質も変えてしまったようです。


フィリップス X2 Fidelio 開放型オーバーイヤーヘッドホン


ワイドレンジな情報量は変わらないか、向上させたようですが、明るくすっきりした方向に振ったようです。今度はX1の音が好きだったユーザーからX1のほうが良かったという声が出る始末。X1の音に興味のある方は今後はおもに中古で狙うことになります。

一番良いのはX1とX2の両方買うことかもしれませんが…。