2015年09月

    ラックスマンは、DSD対応USB-D/Aコンバーター/ヘッドホンアンプ/プリアンプ「DA-250」を発表しました。11月末発売で、価格は170,000円(税抜)。

    「DA-200」の後継モデル。PCオーディオが今ほど活発でない2010年に、USB入力を装備し、プリアンプ機能、ヘッドホンアンプ機能もついた多機能DACとして発売され、PCオーディオ愛好家の定番DACになった機種です。

    DA-200はUSB入力で96kHz/24bitまでの対応だったこともあり、よりハイスペックが求められるようになった現在、後継機が待ち望まれていました。192kHz/32bit PCMや5.6MHz DSDの再生に対応するなど、今回、期待どおりのモデルチェンジを果たしたと言えそうです。

    それだけでなく、ヘッドホンアンプやプリアンプ機能も強化。プリアンプ部はバランス構成を採用。さらにライン出力とヘッドホン出力には、同社の上位アンプで採用され、実績のある電子制御アッテネーター(ボリューム)である「LECUA」を新たに採用しました。

    LECUAはアキュフェーズのAAVAやiFI Audioの機器などでも使われているのと同様の原理の高精度ボリュームで、ギャングエラーやガリ、音量による音色変化のない、それでいて、デジタルでも電子式でもない高精度アナログボリュームで、その効果は絶大と言われています。これまで、ラックスではプリメインアンプや単体プリアンプに搭載していたもので、USB-DACには初搭載です。またLECUA搭載機としては本機は最も安価です。

    アナログ出力はXLR×1、RCA×1でいずれにもプリアンプ機能が使えます。以前はRCAのみでした。

    ヘッドホンアンプもディスクリート・ドライバー回路を採用して駆動力をアップ。ヘッドホン出力はステレオ標準端子を搭載し、バランス出力には対応していません。

    デジタル入力はUSB×1、同軸デジタル×1、光デジタル×2を搭載。デジタル出力も同軸デジタル×1、光デジタル×1を搭載。アナログ入力もRCA端子を1系統搭載。アナログ出力はXLR×1、RCA×1。

    さらに、カード型リモコンも付属、これも新搭載。

    DACチップについて説明がありませんが、どうやらDA-200と同じバーブラウンPCM1795を2基のようです。

    DA-200をベースに改良したモデル、というよりも、USB-DAC機能を持つ最近発売されたSACDプレーヤー・D-05uのDAC/アナログ回路をベースにしたモデルのようです。

    DA-200からの価格上昇はそれほどでもないわりにかなり内容は充実していると思います。それもD-05uという既存モデルをベースにしたことによる開発面でのコストメリットがあったのかもしれません。それに、ライバル機も10万円台後半に収まっている機種が多いだけに、20万円を超えるわけにもいかないのでしょう。それにしても、USBのスペックアップだけでなく、ボリュームにLECUAを採用したのは大きいでしょう。しかも、バランス端子にもプリアウトが効くのもうれしいところ。このボリューム部分だけでも他社同クラスに対してはかなりアドバンテージがあると思います(もっと安価なクラスのiFI Audioが大変に高評価なのも、ボリュームの性能の高さも相まっているようですし)。

    最近流行りのヘッドホンのバランス駆動には対応しませんでしたが、これはラックスマンの考え方ということでしょう。そのあたりは、最近出たTEACのUD-503とは対照的。

    こんごは下位モデルのDA-100の近いうちのモデルチェンジも予想されるところです。

    2015東京インターナショナルオーディオショウにおいて、CHORDブランドは、フラグシップDAコンバーター「DAVE」を発表し、実機デモも行いました。価格は150万円(税抜)で、12月発売予定。

    DSD 11.2MHzやPCM 768kHz/32bitに対応した、CHORDの新フラグシップDAC。

    製品名のDAVEは「Digital to Analogue Veritas in Extremis」の略で、CHORD が世に送り出したこの究極のDA コンバーターにふさわしい名としてつけたとしています。

    コードお得意のDACチップを用いないFPGAシステムには「Spartan-6 Version LX75」を採用。「Hugo」に搭載した「Spartan-6 XC6SLX9」に対し10倍の規模をもつ超高精度なもの。

    FPGAに実装される、WTA(Watts Transient Aligned) フィルターデザインは164,000タップに向上。これまでのモデルのタップ数はDAC64が1000、QBD76が18,000、Hugoで26,000タップだったですから、これもまた大変な向上ぶり。

    また、17次というノイズシェイパーも新設計。なんと、このセクションだけで歴代のFPGAを埋め尽くしてしまうほどの規模を持っているそうです。

    出力段についても、Hugoでは8エレメントだったところ、20素子によるパルスアレイDACおよび独自の2次アナログノイズシェーパーを新たに採用。

    USB入力は最大768kHz/32bit PCM、および11.2MHz DSDに対応。ほか入力として、384kHz対応の同軸デジタルを4系統、192kHz対応の光デジタルを2系統、192kHz対応のAESを1系統搭載。

    アナログ出力はXLR端子およびRCA端子を各1系統とステレオ標準ヘッドホン端子を搭載。アナログ出力は可変でプリアンプとしても使えます。また、“768kHzデュアルデータモード”に対応する2系統のultra high speed同軸デジタル出力を搭載。CHORD製品との機器間接続専用のデジタル出力として使います。

    コードのフラグシップDACというよりも、現在のオーディオ用DACの極限の能力を見せ付けるような強烈な数字が並びます。もちろん、これが音に直結しているからこそ、コードのDACは人気があるわけです。

    これだけの高級機ながら、小型でヘッドホン端子もついているのは異例。ヘッドホンマニアは、バランスヘッドホンにも対応して欲しかったかもしれません。

    DACプリアンプのひとつの決定版が出たと言えるのかもしれません。

    英Chord Electronics(コード)のポータブル対応DAC/ヘッドフォンアンプ「Hugo」の輸入代理店が、10月1日に現在のタイムロードからアユートに移行されると発表されました。

    コードは単品オーディオ機器、最近では独自のDA変換システムを搭載したDACの数々で、ピュア・オーディオ界で高い存在感を示してきました。

    とくに、ポータブル対応DAC/ヘッドホンアンプ「Hugo」は、その内容と価格に対するコストパフォーマンスの高さで、据え置きオーディオの愛好家のみならず、ポータブルオーディオ愛好家にも好評で、今やブランドを代表するモデル、それどころか、ポータブルオーディオの高品位DAC/ヘッドホンアンプの代表機とさえ言える機種です。

    それでもコードのメインはホームオーディオ機器です。ですが、「改めてこれからのオーディオ市場の行方を見極めたとき、モバイル機器とホームオーディオ、それぞれが両輪となって発展していくための新たな基盤作りをすべき時機がきたと考えるに至った」ということから、マーケティングと販売ルートをそれぞれの分野に特化し、細分化するニーズに対応するグローバルなチーム作りに着手するというのです。 その一環として、日本国内では10月1日から、モバイル関連製品はアユートが引き継ぐ事になったとしています。

    いまのところ、アユートはHugoのみの取り扱いとアフターサービスを請負います。それ以外のコードのコンポはタイムロードの担当です。

    コードはHugo以外にも、コーデットシリーズという小型のPCオーディオ向け機器をたくさん出すなど、モバイル向け的な小型機があるので、それらもアユートに行くのかと思ったら、Hugoだけというのも何だか不思議です。

    あるいは、今後発売されるコードの小型でモバイル向けの新製品はアユート扱いになるのかもしれません。

    それにしても、アユートと言えば、ご存知のとおり、アイリバーのAKシリーズのDAPの代理店。AKシリーズとHugoを売るというのも何だか不思議。AKシリーズにHugoをセットで使うというのはあまり考えにくいとは思いますが…。

    東和電子は、オラソニックブランドのタマゴ型USBスピーカーの新モデル「TW-S9」を10月下旬に発売すると発表しました。オープン価格で、実売予想価格は23,630円前後(税込)。

    PCスピーカーとして初めて、ハイレゾ再生に対応しているというのが売り。

    平行面がなく定在波が発生しないというタマゴ型のエンクロージャが特徴のアクティブスピーカーを展開してきたオラソニックが、USB入力対応でしかもハイレゾ対応のスペックの機種をついに発売。

    既存モデル「TW-S7」から筐体が約20%大型化。ユニットはスーパーツイータを加えることで、ハイレゾ再生に必要なスペックをクリア。ユニットは、S7と同様の60mm径フルレンジに加え、25mm径のスーパーツイーターを追加。これまではフルレンジならではの定位の良さも魅力でしたが、フルレンジの前にスーパーツイータを設置する同軸配置で点音源を追求することで、その良さをできるだけ保持。

    フルレンジに55mm径、スーパーツイータに20mm径の大型マグネットを採用。スーパーツイータの背面には大型ディフューザーを配置し、音を拡散させ、リスニングエリアを拡大、筐体の背面にはプレッシャーボード付きの70mm径パッシブラジエータを装備。重低音再生を可能にしているなど、従来のオラソニックのノウハウに基づく工夫も盛り込まれています。再生周波数特性はUSB接続時で45Hz~45kHz、アナログ接続時は45Hz~50kHzと大きさを考えると驚異のワイドレンジ。

    USBバスパワーで動作するのは従来どおりで、あらたにUSBデジタル入力で、96kHz/24bitまでのハイレゾ音源が再生できるようになりました。アナログ入力も装備。

    従来モデルと同様に、SCDS(Super Charged Drive System)を搭載。バスパワーとは思えないパワフルな動作のアンプを実現。今回はさらに、S7は瞬間最大10W×2chだったが、S9ではUSB 3.0接続時に12.5W×2chの出力を可能にさらにバージョン・アップ。

    本体の台座部分に電源のON/OFFやボリュームダイヤルを搭載。

    機能、スペック的にはかなり魅力的になったと個人的には思います。マニア的には2ウェイになってしまったことを惜しむかもしれませんが、ハイレゾ対応にするなら、避けることはできない変化です。

    本当ならソニーあたりにも同様スペックの機器を期待したいところですが、元ソニーの人のメーカーであるオラソニックですし、似たようなものなので、良しとしましょう?

    ゼンハイザーは、ドイツ・ベルリンで9月4日~9月9日に開催された「IFA 2015」において、密閉型ヘッドフォンの「HD 400シリーズ」の新製品3モデルを発表しました。上位モデルから順に「HD 471」、「HD 461」、「HD 451」で、価格は、HD 471が約99ユーロ、HD 461が約79ユーロ、HD 451が約49ユーロ。欧州では9月から秋にかけて順次発売。

    いずれも、アラウンドイヤータイプの密閉型ヘッドフォン。

    ネオジウムマグネット搭載のユニットを備え、HD 451/461は強力な低音、HD 471はバランスの取れた原音に忠実なサウンドを追求したとしています。

    従来機種からデザインを見直し、装着性も改善したとしています。また、ねじれに強いヘッドバンドを採用。ケーブルは片出しで、こちらもねじれに強いという改良点があるようです。

    HD 461/471は、ソフトなレザー調のイヤーパッドを採用し、長時間装着時の快適性を向上。両機種には、Android/iOS用のリモコンマイクを備えたモデルもそれぞれ用意。HD 471のみ3mのケーブルや、ステレオ標準変換プラグ、キャリングポーチも同梱。

    IFA2015では、国内メーカーではソニー、パナソニックの新製品ばかりが注目されているので、本サイトでは、少し目立たないあたりの製品をご紹介。

    ゼンハイザーもヘッドホン愛好家には重要なメーカーですが、IFAでは目立つような新製品を発表しなかっただけに、あまり話題になっていません。すでに発表はされていながら発売されていない密閉型フラグシップHD 630VBが少しは話題になるくらいでしょうか。

    それでも、この3機種の新製品を発表しましたが、日本のヘッドホン愛好家の間では特に話題になっていないようです。というのも安すぎるからでしょう。ゼンハイザーというと、HD598以上の価格の製品が人気で、あまりエントリークラスの機種が注目されることはない傾向なのも影響しているのしょうか。本シリーズはまた、開放型機種がメインとされてしまっているゼンハイザーにあって、安価な上に密閉型ということもあって、ますます影が薄いのでしょうか。

    オーディオ界の底上げには、これくらいのクラスの存在は重要なだけに、ゼンハイザーには、マニアには関わらず?このくらいの価格のシリーズの充実を今後も頑張って欲しいです。今回もおもに装着感や、機能性の向上が着実に見られるようですから、地道な努力は感じます。

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