2016年06月

    Fidue_A91
    DMRは、同社が取り扱いの中国“Fidue”ブランドから、ハイブリッドイヤホン「A91 SIRIUS(シリウス)」を7月1日から発売します。価格は94,800円(税込)。

    Fidueの新フラグシップ機として登場した高級機です。従来のA83(約3.5万円)から大幅なクラス上昇。

    バランスド・アーマチュア型ドライバー4基+ダイナミック型ドライバー1基の計5基のドライバーを搭載したハイブリッドイヤホン。ダイナミック型ユニットの口径は10mmです。

    ワイドレンジを実現できるだけに、中・高音域の繊細なニュアンスから力強い低音域の迫力まで再現するとしています。再生周波数帯域も4Hz~45kHzとハイレゾにも十分に対応する広帯域です。

    また、広めに設計したハウジング内にそれぞれのドライバーを配置しているため、音場の広さや空気感も表現できるとメーカーではアピールしています。

    リケーブルにも対応しています。付属のケーブルは、使用中の抜け落ちを防止する固定リング付きMMCXコネクターを備えます。プラグにはロジウムコーティングを施した2.5mm4極バランスを採用。なお、3.5mm4極バランス、3.5mm3極ステレオプラグへの変換アダプター2種が同梱されます。他付属品として、シリコンイヤーチップ(XS/S/M/L)、Complyイヤーチップ、アルミ製のキャリングケースを同梱。

    驚きです。最近のFidueと言えば、日本の新進家電メーカーUPQにA83など2製品をOEM供給していたくらいで、本機もなんと2年ぶりの新製品。しかもいきなりの高級機です。UPQに供給した製品は、実売価格の安さもあって、ハイコストパフォーマンスモデル的でしたが、本機はそういう線は狙っていないようです。

    それでも、今やこの程度の内容、価格では愛好家は驚きもしない状況です。広めに設計したハウジングで空間表現云々、というところで、差をつけようということなのでしょうか。本当にこの機構が効いていて、広い空間性で再生できるなら、耳の肥えた愛好家にもアピールできるとは思います。

    今後はA83と本機の中間くらいの製品が出るでしょうか。

    ハイブリッドイヤホンも最近は上海問屋など激安の製品が出てきて、ハイブリッドというだけではなかなか難しい状況です。Fidueの動向にも注目したいところです。

    ELAC_Debut_B4
    ユキムは、独ELACのスピーカー・Debut B4を6月21日より発売します。価格は43,000円(ペア)。

    ELACで最もリーズナブルなスピーカーシリーズ、「Debut Line(デビュー・ライン)」シリーズの新製品として登場。

    2ウェイバスレフのブックシェルフ型スピーカー。これまでシリーズ最小だった「B5」からさらに小型化したコンパクトさが特徴です。本体サイズは178W×292H×216Dmmで、質量は4.2kg(1台)。仕上げはブラックビニール・ブラッシュド。

    25mmクロスドームトゥイーターと100mmウォーヴン・アラミドファイバー・コーンウーファーを1基ずつ搭載。ウーファーの強度と軽さを高めるアラミドファイバー素材や、トゥイーターに新デザインのウェーブガイドを採用しています。リアバスレフ型。

    能率は84.5dB/2.83V/1mで、インピーダンスは6Ω。周波数特性は48Hz~20kHzで、クロスオーバー周波数は2,500Hz。

    TADやKEFのスピーカーを手がけてきた著名なエンジニア、アンドリュー・ジョーンズ氏がELACで開発したのがDebut Line。本機のユニットも氏の設計です。シリーズの各機種はすでに各所で高い評価を得ています。ELACというとJETツイーター。JETツイーターを採用しないエントリー機はたいしたことない、みたいな論調を一気に吹き飛ばしました。

    Debut Lineは、ブックシェルフの「B5」と「B6」、トールボーイの「F5」、センター用「C5」と、Dolby Atmosイネーブルドスピーカー「A4」、サブウーファー「S10」、「S10EQ」があります。

    本機も、ペア4万円台という価格帯を実現することで、多くのユーザーへの普及を目指しているとのことで、設置しやすい大きさもあり、大いに期待できそうです。ただ、販路が、販売は特約店のみで行うというのはひっかかります。簡単にアマゾンや楽天でも買えるとより普及すると思うのですが。

    ただ、試聴もしないで、買って、その結果、思っていたのと音質が違っていたなどと文句をネット上で書かれることを警戒しているのかもしれません。むしろ本気で普及を願っているからこその販路限定なのでしょう。どうしてもオーディオをある程度わかっている愛好家のサブ機的になりそうな印象ですが…。

    Panasonic_DMP-UB90
    パナソニックは、Ultra HD Blu-rayプレーヤー「DMP-UB90」を7月22日より発売します。オープン価格で、実売予想価格は7万円前後です。

    同社のBDレコーダー「DMR-UBZ1」に続く、Ultra HD Blu-ray(UHD BD)再生機で、待望の日本発のUHD BD再生専用機。4K HDR映像を視聴できるUHD BDプレーヤー。上位機の「DMP-UB900」(6月24日より発売。実売予想価格は13万円前後)と同時発売。

    UHD BDのほか、BD/DVDビデオ、BD-R/RE、DVD-R/RW/RAM、音楽CD、CD-R/RWなどの再生に対応。マスターグレードビデオコーディング(MGVC)ディスクの再生にも対応します。4Kコンテンツでは、Netflix、YouTube、Amazonビデオの4K動画視聴にも対応します。なお、ネット動画のHDRへの対応は今後検討するとしています。USB端子とSDメモリーカードスロットを装備し、SD/USBメモリに記録した4K動画(MP4形式、最大4K/30p)の再生や、写真の4K出力に対応します。

    DSDにも対応のネットワークオーディオプレーヤー機能も装備します。

    上位機「DMP-UB900」からいくつかの機能を省くなどで低価格化を実現させたのがポイント。具体的には“Plus”が付かない「4Kリアルクロマプロセッサ」搭載。DMP-UB900が備えるアナログ7.1ch出力は非搭載。高音質オーディオパーツの採用も省略しています。

    クロマ処理技術「4Kリアルクロマプロセッサ」を採用。ハイビジョン領域の色信号補間処理を経ずに、デコードしたハイビジョン信号からダイレクトに4K信号にアップコンバートすることで、鮮度が高く、自然な質感と立体感にあふれた映像を楽しめるとしています。

    4K超解像/W超解像機能も搭載。4K映像の鮮鋭感や精細感を自在に調整することが可能。ハイビジョン映像を4Kアップコンバート出力する際にも有効です。また、HDR非対応テレビと接続してUltra HD Blu-rayのHDR映像を再生した場合にも、独自のダイナミックレンジ変換を自動で処理します。

    HDMI出力は、AV分離出力可能な2系統を搭載。4K非対応のAVアンプとも接続できます。また、音質的にもメリットがあります。デジタル音声出力は光のみ。上位機では同軸も装備しているのが違い。

    ハイレゾ対応のネットワークオーディオプレーヤーとしても機能。USB端子およびネットワーク経由によるハイレゾ再生に高度に対応。対応ファイル形式は5.6MHzまでのDSDと、Apple Lossless(ALAC)、WAV、FLAC、MP3、AAC、WMA。

    圧縮処理によって欠落した高音域成分を復元する「リ.マスター」、真空管アンプを通したような温かみのある音を再現するという「真空管サウンド」、「ハイクラリティサウンド4」機能など、パナソニックの高級ブルーレイレコーダーでおなじみの高音質機能も装備。

    外形寸法は430×190×61mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.3kg。

    アナログ音声出力はありませんが、HDMI接続前提なら本機はハイレゾネットワークオーディオプレーヤーとしては上位機同様です。

    とはいえ、やはりUltra HD Blu-rayプレーヤーとして使うのが本来でしょう。その場合は「4Kリアルクロマプロセッサ」の上位機との差をどう考えるかが大きいでしょう。差がないわけはありませんが、マニアしか気にしない程度ということもあるのでしょうか?

    実売価格の下がり具合や、市場での人気によっても本機の評価は変わりそうです。たとえば、5万円以下に早めになれば、人気、評価ともに高まるような気もします。

    まずはHDR対応4Kテレビの普及、なによりソフトの普及が課題です。



    Marantz PM-11S3 マランツが2012年に発売したプリメインアンプ。価格は43万円。

    8Ωで100×2、4Ωで200W×2の定格出力を備えた、マランツのプリメインアンプ最上級機(2016年現在)。

    パワーアンプブロックはフルディスクリート電流帰還型回路を採用したAB級。

    PM-11S2の後継機。上級セパレートアンプSC-7S2/MA-9S2の技術も新たに導入するなど改良しました。

    V/Iサーボ方式電流帰還型パワーアンプのプリドライバー段にHDAM-SA3を応用した、画期的な新回路「SA Driver」を導入したのが違い。プリアンプ部も電流帰還型で、すべての入力端子にHDAM-SA3で構成された入力バッファーアンプを搭載。バランス入力端子や各回路にもHDAM-SA3を採用しています。

    電源回路では、大容量フィルターコンデンサーとケース入りトロイダルトランスを採用。これもケース内の空きスペースを用いてトロイダルコアのサイズを上げ、PM-11S2より、容量を高めました。

    全体に、パワーアンプ、バッファー段のハイスピード化を狙った改善を意図しています。

    また、ボリュームをマイクロアナログシステムズ社のMAS6116に変更し、ノイズを低減し、左右チャンネルのセパレーションを向上させました。HDAM-SA3を使った電流帰還型アンプ回路と、MAS6116をパラレル使用することで、S/N比に優れた可変ゲインアンプを構成しています。可変抵抗体を用いていないため、経年劣化に伴う音質劣化がないのもメリットです。

    パワーアンプ入力も追加され、パワーアンプ単独で使用できるようになりました。マランツプリメインアンプ最上級機として、充実の内容を有しています。オーディオ評論家の貝山知弘氏は「音の豊かさと力強さが両立し、パーフェクトにバランスしている」と評論しています。マランツの低価格機とは「音の豊かさ」の点で違いがあるように見受けられます。それが高度なバランスにつながっているのでしょう。

    本機を今取り上げるのは、もしかして本機の生産完了が近づいていることがあります。それも、本機を改良したモデルチェンジ機に置き換わるようなものではないかもしれないのです。

    というのも、マランツは、独ミュンヘンで開催された「HIGH END 2016」において、SACDプレーヤー/USB-DAC「SA-10」と、プリメインアンプ「PM-10」の試作品を発表しました。

    型番は違いますが、外見から判断するに、11ラインの後継機のように見えます。それなら、PM-10がPM-11S3の後継機でも大したことはないと思うかもしれません。

    ところが、PM-10は現時点で詳細は詰められていないとのことですが、なんと、パワーアンプには、モノラル構成のスイッチングアンプを搭載、とオーディオニュースサイトに掲載されています!つまり、マランツの高級単品コンポ(いわゆる2桁モデル)のプリメインアンプとしてはじめて、D級アンプが搭載されます。

    これは大きなことでしょう。音質的にいいとか悪いとかは別にして、いままでアナログAB級で来たPM-11シリーズがなくなって、D級のPM-10シリーズになることは大きな違いになる可能性はあります。なお、PM-10のプリアンプ部は、同社のプリアンプの名機「SC-7」から継承したというフルシンメトリカル回路とHDAMを組み合わせた構成を採用するとしています。

    もし、この変化が気になるのであれば、そして、マランツのこのクラスの新しいプリメインアンプを欲しいのであれば、今のうちにPM-11S3を購入されることをおすすめします。PM-10でもフロントパネルデザインはあまり変わっていないということは、PM-11S3のデザインの人気、評価は高く、マランツも変えたくないほどのものがあると言えそうです。外見という点でもPM-11S3は優れているようです。


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    audio-technica_ATH-CKR90
    オーディオテクニカは、「ATH-CKR100」などカナル型イヤホン新機種3種類を6月17日に発売します。

    ATH-CKR100 ¥OPEN(予想実売価格40,000円前後)
    TH-CKR90 ¥OPEN(予想実売価格20,000円前後)
    ATH-CKR70 ¥OPEN(予想実売価格10,000円前後)

    従来のATH-CKR10など二ケタ番号機の後継機群。CKR-10/9は、“世界初”「DUAL PHASE PUSH-PULL DRIVERS」機構を搭載していました。

    マイナーチェンジか、と思いきや、今回のモデルチェンジではかなり変化しています。とくにシリーズ3機種中ではATH-CKR90が最も変わりました。

    CKRシリーズ同様、DUAL PHASE PUSH-PULLDRIVERS機構を採用しています。この機構は、ふたつのダイナミック型ドライバーを向かい合わせに配置。2基のドライバーはそれぞれ逆位相で駆動。向かい側のユニットからの音圧が、後ろに引くユニットを後押しする役割を果たし、理想的なリニアドライブ(前後直進運動)が実現できるとしています。「高磁束・低歪み」のメリットを見出すことができ、結果、ワイドレンジで歪みの少ない、伸びやかなサウンドになるというものです。

    イヤホンブームのなか、各社音質が良いだけではアピールポイントにならないとみているのか、こうした「世界初」の新機構の機種が増えているようです。

    さらに、改良の余地があったのか、ATH-CKR90は、2つのドライバーの口径を変えてきました。CKR9ではいずれもφ13mmでしたが、φ13mmのものとφ10.4mmのものを組み合わせ。高域特性を改善し、ハイレゾ音源も余裕で再生できる高解像度・広帯域再生を実現したとしています。再生周波数帯域はCKR9の5~35,000Hzに対して、5~42,000Hzと伸びています。

    前作にはなかった、ドライバーの前後直進運動を向上させるというアルミニウムスタビライザーも装備。高レスポンスかつ忠実な音を再現可能だとしています。逆に、低域特性を最適に調整するという「ベース・アコースティックレジスター」はなくなっているようです。

    ハウジングには同様に精密切削アルミニウムを採用するも形状デザインも変えています。また、新たにケーブル着脱が可能に。ただ、コネクタはA2DC(Audio Designed Detachable Coaxial)を採用。あまり一般性はありません。

    出力音圧レベルは109dB/mW。最大入力は200mWで、インピーダンスは12Ω。

    見た目もずいぶん洗練された印象ですが、なんだかオーディオテクニカらしさが後退して、どこかの海外メーカーか、下手すると、中国メーカーのデザインのように見えます。一般的な観点では十分スタイリッシュには思います。オーディオテクニカのマークが本体にも刻印されているからわかりますが…。

    とにかく、音が良ければそれでいいと思います。海外メーカーが存在感を増し続けているイヤホン市場で、オーディオテクニカが巻き返せるか注目です。本機にそれだけの期待がかかるとも言えそうです。

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