2016年09月

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    米グラド(Grado)からオープンエア型のヘッドホン「GS2000e」が発売されます。ステレオ標準プラグのアンバランス接続対応スタンダードモデルと、XLR端子を装備するバランス駆動対応モデルの2種。

    スタンダードモデルの「GS2000e」¥149,000(税抜)、バランス駆動モデルの「GS2000e-balanced」は¥174,700(税抜)です。

    ストラディバリウスといったヴァイオリンの名器やピアノなどと同じく、異なる木材をハウジングに採用する「ハイブリッド構造」が最大の特徴。木材をハウジングに使用するので有名なグラドとしても初めての試みだそうです。おそらく他社でも採用例はないでしょう。

    外側にはマホガニー、内側にはメープルを用いたハイブリッド構造。素材それぞれの特色を活かすよう設計したとしており、メープルにより音の持つエネルギーをフルに伝え、マホガニーによりそのエネルギーを開放するとしています。この構造により、奏者が意図した空間の再現を狙った、としています。

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    ドライバーは新開発のφ50mmを搭載。これにより、周波数特性は4Hz~51kHzと超ワイドレンジ。

    ヘッドバンドには側圧調整板内蔵本皮を使用し、独自開発のイヤーパッドを装備しているので、装着感の良さも狙っています。

    付属ケーブルは長さ約2.1mで、12芯UHPLC無酸素銅線を採用。端子部は、アンバランスモデルはステレオ標準6.3mm端子を備え、バランス駆動モデルはXLR端子を装備。

    ミニプラグ・アダプターケーブル、4.5m延長ケーブルが同梱。加えて、バランス駆動モデルには標準プラグアダプターケーブルも付属。

    感度は98.8dB、インピーダンスは32Ω。ケーブルを除く重量は約260g。

    「ハイブリッド構造」などと謳うものですから、てっきり、「ダイナミック型とBA型のハイブリッド」みたいなイメージを持った方も多いようですが、このポイントで「ハイブリッド」でした。さすがグラドと言うべきか。

    従来の高級モデル、GS1000eの上級機であり、価格も高くなりそうな予感でしたが、アメリカでの価格1,395ドルを考えると、意外なほど良心的な国内価格でした。もっともアメリカでの定価も高いのかもしれませんが。


     GRADO グラド GS1000e 


    どうなんでしょう。素材の説明からすると、得意なのはクラシック音楽のヴァイオリンをはじめとする弦楽器、またピアノ、ということでしょうが、グラドの一般的ユーザーはそんなにクラシックメインでしたでしょうか。

    独自の外観と価格は、一部では「民芸品」などとも呼ばれているグラドです。民芸品は褒め言葉なのか揶揄なのか微妙なところですが、本機は何と呼ばれるでしょうか。

    LUXMAN_SQ-38u
    過去に発売されていたオーディオ製品を紹介。LUXMAN SQ-38u ラックスマンの真空管式プリメインアンプ。36万円(税別)で2008年に発売。中古市場でも注目される機器です。

    ラックスマンを代表する、そして日本を代表する真空管式プリメインアンプの代名詞的シリーズ・38シリーズ11代目牡の機種。1998年のSQ-38D(39万円)の後継機。

    回路方式はドライバー ムラード回路で出力段はロシア・ソヴテック製の出力管「EL34」4本によるプッシュプル構成のUL接続で定格出力30W(6Ω時)を実現。使用真空管:EL34×4本、ECC83×5本、ECC82×2本 。

    筐体に16mmのMDFにナチュラルな突き板仕上げを施した木箱ケース、フロントパネルには極厚の8mmアルミ板材を採用を採用したことによる、レトロなデザインも特徴。これこそが「38シリーズ」のポイントでもあります。シリーズ伝統となる、フルファンクションのノブレイアウトを採用。

    インピーダンス切替付きの2段構成PK-NF型フォノ・イコライザーアンプ回路を搭載。フォノ入力はMM/MC high/MC lowに対応。MCカートリッジ使用時には内蔵のゲイン切替付きMCステップアップ・トランスを使用するなど、フォノ部への注力も大きな特徴です。

    プリ部とパワーアンプ部が分離使用可能なのも拡張性があります。本機のパワーアンプ部だけを使って、プリにあえて最新のUSB-DACをつないでみるなど、いろいろと楽しめます。

    サブソニック・スイッチと、モノラルレコード再生時に便利なモノラル・スイッチも備えます。トーンコントロール回路には、変化特性が滑らかで、うねりの少ないLUX方式を採用。

    ヘッドホン出力端子も搭載。スピーカー端子も2系統。リモコンも搭載するので、現代的な操作性も身に着けています。

    同時に本機とデザインコンセプトを合わせたCDプレーヤー・D-38uも発売されていました。アナログ出力を真空管回路と半導体回路から選択できる機能を備えていました。


    LUXMAN D-38u コンパクトCDプレーヤー


    さて、本機は2016年に38シリーズ12代目となる後継機・LX-380(46万円)が登場したため、完全に前機種となりました。生産はすでに終わっていたようです。

    LUXMAN_LX-380
    LX-380はずいぶんと内容が変わりました。寸法も変わっています。最大のポイントは、音量調節部にラックスマン・オリジナルの電子制御アッテネーター「LECUA」を真空管アンプ製品として初採用したこと。トーンコントロールも電子式になりました。フォノ部も SQ-38uほどには凝っていないようです。

    回路にはムラード型のドライバー段とビーム管接続のファイナル段を採用。出力管にはエレクトロ・ハーモニクス社製6L6GCを、プッシュプル構成で搭載。ECC82 (12AU7)× 3本も使用。定格出力は20W+20W(6Ω)と随分変えました。長期間の安定性、メンテナンス性を意識した結果なのではないかと、愛好家の間では言われています。外形寸法は440W×197H×403Dmm、質量は17.6kg。

    かなり違う内容なだけに、どちらが良いかは一概に言えませんが、SQ-38uは、フォノMCを重視する人には向いていると思います。手に入れるには新品はなく、中古になりますが。

    38シリーズと言えば、出力トランス。オリジナル以来一貫してコア材にオリエントコア(方向性冷間圧延コア)が使われているOYトランスという分割巻きの特殊な捲き線技術を要する手作りの少数生産品が使われています。SQ-38uでも使用されているはずです。この供給ができなくなったときが、38シリーズの終焉でしょう。まだその日は来ないようですが、いつかは来るのでしょうか?

    1MORE_iBFree_R
    フリーウェイは、同社取り扱いの中国「1MORE」(ワンモア)ブランドの防水Bluetoothイヤホン「iBFree」を10月中旬に発売すると発表しました。オープン価格で、実売価格は6,980円前後(税込)の見込み。

    Bluetooth 4.1に対応し、IPX4相当の防水性能を持ちます。スポーツ時の汗や、外での雨にも平気です。

    BluetoothのプロファイルはA2DP/AVRCP/HSP/HFPをサポート。ハンズフリー通話にも対応します。コーデックはSBCに加え、aptXにも対応。

    ドライバーユニットは10mm径のダイナミック型で、振動板にはチタンとPETを採用しているのも特徴です。ハウジングの外装にはアルマイト加工のアルミを使用していて、品位感とおしゃれな雰囲気を演出しています。ずれにくいウイング状のスタビライザーを備えるので、しっかりとした装着感とずれにくさを両立。

    1MORE_iBFree


    ケーブル部にリモコンを備えます。

    音質の最終的なチューニングには、ラテングラミー賞を受賞したサウンドエンジニアのLuca Bignardi氏が協力しているというのもこれまでの1MOREイヤホン同様の売り。

    連続再生時間:8時間、連続通話時間:10時間、連続待受時間:240時間、充電時間:2時間

    重量は約14g。イヤーピースはS/M/Lサイズを同梱。充電用のmicroUSBケーブルも付属します。

    1MOREはシャオミのOEM供給元として安価でも高品位なイヤホンに定評のあるメーカーです。自社ブランドの1MOREでは、シャオミ以上にオーディオ的な高音質、高性能を追求したイヤホンを展開しています。

    1MOREは従来有線タイプの普通のイヤホンがメインでしたが、iPhone7の登場もあり、やはりBluetoothイヤホンは無視できない、ということでしょう。

    内容、価格的にこれといった強いアピール要素は乏しいような気もしますが、ワールドワイドに展開するブランドでもあり、世界的には意外と売れるのかもしれません。カラーは国内ではブラック(BK)とレッド(RD)の2色ですが、海外ではさらにブルー・グリーンの4カラーです。海外の方が主戦場のようですね。

    日本では、いわゆる中華イヤホンの愛好家にも、それとはまた別の、Bluetoothイヤホン愛好家にもあまり注目されていない印象はあります。

    だいたい、この時期はiPhone7と、その純正イヤホンで話題が持ち切り。純正の範囲はアップルだけでなく、人気のビーツまでですから、他のメーカーはどこも大変だとは思います。

    ONKYO_E900M
    オンキヨーブランドから、ハイブリッド型イヤホン「E900M」を11下旬に発売すると発表されました。価格は実売4万円程度。

    2つのバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーと6mm径のダイナミック型ドライバーを搭載したハイブリッド型のカナル型。

    BAドライバーは専用チューニングされたもので、ダイナミック型ドライバーは専用開発。ドライバーの相互干渉を排除するために独立構造の音導管を備えています。クロスオーバーネットワークも内蔵。

    再生周波数帯域は5Hz~40kHzでハイレゾ再生対応となっています。

    ケーブルはMMCX端子採用で着脱も可能。通話切り替え機能付きのリモコンマイクを備えます。ケーブルはOFCツイストケーブルで、長さは1.3m。

    イヤーピースは、通常のシリコンタイプ(S/M/L)に加え、Comply製のイヤーピースも3サイズ同梱。専用ポーチも付属。

    出力音圧レベルは107dB/mW、インピーダンスは16Ω。重量は53g。

    ONKYO_E900M_2


    オンキヨーは同時に左右分離型完全ワイヤレスイヤホンW900BTも発表。価格も同じでした。従来ならば、ワイヤレスのBluetoothイヤホンは、音質面の問題もあり、あまりイヤホン愛好家のメインにはならない印象でした。Bluetoothイヤホンは一般ユーザーには人気ですが、あまり高価(万単位のもの)は興味を持たれていなかった感じです。

    ところが、イヤホン端子のないiPhone7が発表され、しかもアップルが純正ワイヤレスイヤホンAir Podsを16800円と、一般の人からするとかなりの価格で出したことは、イヤホン界の状況を一変させる力があります。

    本機は従来からのイヤホン愛好家向けとなり、W900BTのほうが広く一般ユーザーにも興味を持たれるような反応の違いが生まれそうです。

    メーカーも今後はワイヤレスイヤホンにばかり開発の力を入れなければならなくなるのでしょうか。それもまた不安です。本機E900Mはハイブリッド構造の音響開発だけで18カ月以上の時間を費やしたという労作ですし、それだけの音質的成果もありそうです。こうした手間は有線イヤホンに今後かけられるのでしょうか?

    本機はオンキヨー発のハイブリッドイヤホンですが、これが最初で最後のハイブリッドイヤホン、などとならないことを祈ります。

    DN-914018_
    ドスパラは上海問屋ブランドのカナル型イヤホン・DN-914018を1,999円(税込)で販売開始しました。

    イヤホン界の価格破壊を続ける上海問屋。国内取り扱いで普通に買えるイヤホンとしてはおそらく最安価のハイレゾ対応イヤホンでしょう。

    5Hz~40kHzとハイレゾ領域の周波数帯域再生に対応しながらこの価格であるというのが最大の売り。

    7mm径のダイナミック型ドライバーを搭載。再生周波数帯域は5Hz~40kHzで、最大入力が5mW、感度は96dB/1mW、インピーダンスが16Ω。

    ケーブル長は約1.2mで、端子部は3.5mm 3極を採用。S/M/Lサイズのイヤーピースなどが付属します。

    ドスパラは「バランスのとれた精度の高いサウンドを奏でる、お手頃価格のハイレゾ音源対応イヤホン」とアピールしています。「美しく伸びのある高音、ほどよい中音、存在感のある低音をバランスよく表現します」とも謳っています。パッケージには空気感豊かな音、とも書いてあります。

    とにかく価格を超えた高音質であるということでしょう。ハイレゾ音域が出ていることによる可聴帯域の聴こえへの影響かはわかりませんが。

    とりあえず、最安価のハイレゾ対応イヤホンの座を抑えるべく投入した機種と言えそうです。国内でJEITA RC-8140B-1の測定法によるハイレゾ対応の測定済み、というしっかりとした説明も好感が持てます。大手メーカーでもここまで説明していない気がします。

    もうネタは出尽くした感もありますが、今後の課題?としては、BA型によるハイレゾ対応イヤホンの最安価格、まだ大手メーカーから対応機すら出ていませんが、新4.4mm規格のバランス端子対応イヤホンの最安を狙うとか、まだ狙うことは残っていることにも気付かされます。


    7mmダイナミックドライバ搭載 高精度ハイレゾイヤホン (914018)

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