2016年10月

    SATOLEX_Tubomi_DH302-A1Bs
    サトレックスは、筐体に真鍮を使ったカナル型イヤホン「Tubomi 真鍮(DH302-A1Bs)」を10月27日に発売します。価格は9,800円。

    ハイレゾ対応のカナル型イヤホン「Tubomi」シリーズの新モデルとして登場。

    Tubomiシリーズは、いずれもダイナミック型のホシデン製9mm径ダイナミック型ドライバーを採用。既発売の「DH298-A1」は樹脂製、「DH299-A1」はアルミ削り出しのハウジングを採用していました。日本製にこだわっているのも特徴。

    本機ではモデル名にも使われている真鍮をハウジングに使っているのが特徴です。ユニットが同じでもハウジングが違うことにより音色が異なることを楽しめることを意識しています。

    真鍮は比較的柔らかい素材であるため、傷がつきにくく、酸化を防止するためのコーティングにもこだわったということで、長く使える配慮もぽいんとです。

    インピーダンスは32Ω。感度は104dB/mW。再生周波数帯域は20Hz~45kHzとハイレゾ対応を謳える40kHzを大きくクリア。ケーブルを含む重量は約15.3g。ケーブルの長さは1.2mで、入力プラグは金メッキ仕上げのステレオミニ。4サイズのイヤーピースが付属。

    DH298-A1、さらにはDH299-A1も、発売当初はそのコスパに驚きましたが、次々とハイレゾ対応でも安価なイヤホンが登場してサトレックスの存在感が薄れた印象はあります。

    しかし、サトレックスは最近のエレコムの高級路線のように、コスパだけでなく、ナチュラルでリアルな志向も支持されているようです。高級機でなければ貴重なキャラクターです。ですから、頑張って欲しいとも思います。

    本機の試聴レポートは早くもAVウォッチにありました。
    http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1023669.html

    「ドラマチックなサウンド」としていて、これまでのニュートラルで精細な音ともまた違うようです。アルミモデルのDH299-A1とは価格もほぼ同じだけに、音質を変えたバリエーションモデルといったところでしょうか。

    「中低域の音圧が豊かだ。アコースティックベースが深く沈み、響きも豊かでドッシリとした安定感のある音」「高域にも温かみがあり、“美音”が楽しめる」としています。

    そのうえで、ハイレゾに欲しいな高音の伸び、情報量、低音の締まりは維持されているとのこと。楽しくリスニングできるイヤホンとしてこれまでの良さを継承しつつ、一皮むけたイヤホンのような印象です。

    ただ、エレコムもそうですが、なぜ、モデル名がこんなに長く、錯綜した印象にするのはなぜでしょう。覚えにくいんですけど。ソニーやオーディオテクニカのようにパターン化したわかりやすい型番にして欲しいですね。

    サトレックスの今後にも注目し続けたいと思います。

    DN-914055
    ドスパラは、6,999円(税込)という価格ながらハイレゾ領域の周波数帯再生に対応する密閉型ヘッドホン「DN-914055」を発売しました。

    40mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載。再生周波数帯域は5Hz~40kHzをカバーし、いわゆるハイレゾ対応をヘッドホンで謳うことができる40kHz再生を実現しています。

    イヤーパッドは、クッション性が高く肌触りが良いというレザータイプの素材を採用し、装着感も向上させているとのことです。デザイン面では、光沢のあるブラックとシルバーにより高級感を演出。

    ケーブルは着脱式で、片出しタイプを採用。付属ケーブルの長さは約1.2mで、プラグ形状は3.5mmステレオミニプラグ。

    最大入力は40mW、感度は104dB/1mW、インピーダンスは16Ω。

    さて、どうでしょうか。国内オーディオ大手メーカー製のハイレゾ対応ヘッドホンにもこれよりも安価なものはあります。パイオニアのSE-M531と521です。531がなんと実売1800円、521に至っては1200円程度です!

    ですから、価格的に7000円でハイレゾヘッドホンだから安い!とはなりません。むしろ本機が狙っているのは、この価格にしてハイレゾの高音質を生かせるハイコスパなヘッドホンということでしょう。

    実際、上海問屋の製品ページでも、本機の音質についてかなり触れています。「超低音域~超高音域までをバランスよく再生。低音・中音・高音のいずれにも偏ることなく、原音が持つ音の魅力をピュアに表現します。」「あらゆるジャンルの音楽を、よりクオリティの高いサウンドで楽しめます。」というように。

    これから推測できるのは、なかなかこの価格帯では難しい、というかメーカーが意図的に行っている音作りを回避して、より自然でリアルな高音質を狙ったものでしょう。

    それが難しいから大手メーカーも音作りをしているのでは、と思いそうですが、そうでもないようです。

    というのも、最近めきめきと頭角を現しているエレコムのヘッドホンEHP-R/OH1000Mを聞くと、驚くほど自然でリアルなのです。しかも、安い!本製品と同価格帯のハイレゾ対応ヘッドホンなど聴いてみてください。エレコムなんて…どころか、ソニーも真っ青です。ただし、音源に色付けを求めない指向のユーザーであることが前提ですが。

    本機もあるいはエレコムのヘッドホンを意識したのでしょうか?エレコムの弱点は見た目のチープさです。また、ケーブル着脱もできません。本機は外観がエレコムより良さそうなのは期待できます。ケーブル断線の心配もありません。あとは音です。簡単に試聴できないのが残念です。

    重量の表記がないことと、折り畳み機能がないのも残念です。


    SONY_MDR-1A_LIMITED
    ソニーは、密閉型オーバーイヤーヘッドホン「MDR-1A Limited Edition」を10月29日に発売します。オープン価格で実売33,000円程度の予想です。

    型番からわかるように、ソニーのヘッドホンMDR-1Aをベースにした限定モデルです。全世界で2900台の限定とのこと。

    特別調色したマットブラック色でヘッドホン全体をカラーリング。ハウジングは蒸着によるブラックで、ハウジングオーナメントはアルマイトをマットブラック仕上げ。着脱可能なケーブルの付け根部分にはゴールドのアクセントがあしらわれています。ハンガー裏にはシリアルナンバーをレーザー刻印。

    さらにスライダーも、より黒くし、スライダーオーナメントも蒸着のダークブラック仕上げとしました。さらにソニーロゴも、ダイヤカット+Wアルマイト仕上げとしています。またケーブルグリップもアルマイトのマットブラックを採用するなど、黒に徹底的にこだわっています。

    さらにイヤーパッドとヘッドクッションには、新たに吸放湿性に優れた合皮を採用しました。装着性とともに、音質も変りそうですが、MDR-1Aと音質が変わらないよう調整したとしています。

    専用キャリングポーチも、MDR-1Aのものとは異なるオリジナルデザインのものを付属。側面にエンボスを追加したほか、表面のソニーロゴにもエンボスを追加した。さらに表面の質感も変更。またコードストッパーも加えるなど、限定モデルらしいこだわりを加えています。

    コラボモデルや限定モデルが最近のポータブルオーディオ界には多いですね。どのメーカーからどんな特別モデルが出たか、もはや全くわかりません。

    本機ははやりのアニメや、ミュージシャンとのコラボモデルではなく、いわば硬派な限定モデルです。

    となると、期待したいのは限定モデルならではの音質チューニングあたりなのですが、どうも本機は音質はベースモデルと同じようです。変えると音質が少なからず変化するはずのイヤーパッドを変更しておきながら、わざわざMDR-1Aと音質が変わらないよう調整した、というほどです。むしろ、MDR-1Aと音質が変わらないことになぜかこだわっています。

    というわけで、本機のヘッドホンとしてのスペック、特徴、装備などはMDR-1Aと全く同一です。つまり、密閉ダイナミック型ヘッドホンで、ドライバーユニットは40mmドーム型。振動板は、液晶ポリマーフィルムの表面にアルミニウムの薄膜をコーティングした「アルミニウムコートLCP振動板」。再生周波数帯域は3Hz~100kHzのハイレゾ対応超広帯域、質量は約225g。通常のヘッドホンケーブルとマイク/リモコン付きヘッドホンケーブル付属のリケーブル対応機。ケーブルは片出しでステレオミニ端子で着脱可能。別売りケーブルで、バランス駆動にも対応できます。といったもの。

    それでいて、MDR-1Aよりは1万円ほど高い実売価格です。となると価格帯では随一のハイコスパヘッドホンの魅力は後退してしまいます。

    本機の意義は、記念品的な意味が大きいようです。

    これで、ほとんど同じような通常モデルを出したりしたらそれはそれで物議を醸しそうですね。そういうことをしそうなのも最近のポータブルオーディオ界です。

    よほどソニーはMDR-1Aの完成度に自信があるのか、それ以外の理由があるのか、知りたいところです。

    Panasonic_DIGA_DMR-UBZ1020
    パナソニックは、Ultra HD Bru-ray(UHD-BD)再生にも対応した、BDレコーダー“DIGA”「DMR-UBZ2020」「DMR-UBZ1020」を11月下旬に発売します。予想実売価格はDMR-UBZ2020が10万円前後、DMR-UBZ1020が9万円前後です。

    2機種の違いは内蔵HDDの容量だけで、他は同一内容です。2020が2TB内蔵、1020が1TBです。どちらも地デジ/BS/110度CSチューナーを3基搭載され、3番組同時録画が可能です。

    UHD-BDの日本国内向けの再生機は、現在パナソニックがレコーダーの3TB/3チューナーの高級機DMR-UBZ1と再生専用プレーヤーのDMP-UB900、DMP-UB90の3モデルを発売していて、今回はそれに続くモデルとなります。

    UHD-BD対応にあわせて4K/60p、HDR(ハイダイナミックレンジ)対応や、広色域のBT.2020対応、HEVC/H.265/10bit/100Mbps対応などもなされています。Netflix、YouTube、Amazonビデオの4Kネット動画にも対応しています。

    映像面では高画質エンジンとして「4Kリアルクロマプロセッサー」を搭載。独自のクロマ処理によって4KもHDRも美しく再生することができるとしています。これらは4Kネット動画にも適応できます。パナソニックにはさらなる高品位の「4Kリアルクロマプロセッサーplus」高画質エンジンもあります。ですが、ここでは、製品のリーズナブルさを重視して、廉価版の回路を選択したということです。

    DMR-UBZ1、DMP-UB900は素晴らしいプレーヤーかもしれませんが、いささか高価でした。また、DMP-UB90はプレーヤー機能だけで一般ユーザーにとっては取っつきにくい印象でした。


     DMR-UBZ1


    今回の2機種は需要の多い、一般的な家電の範疇であるBDレコーダーにUHD-BDプレーヤーを入れ込み、しかも高価すぎない実売価格を実現することで、UHD-BDの普及を図ろうという戦略機です。とくに少しでも安いDMR-UBZ1020は最初から9万円程度ということもあり、かなり期待できそうです。

    なお、UHD-BD再生のためには、著作権保護技術のHDCP 2.2対応HDMI入力を備えた4Kテレビ/プロジェクターが必要ですのでご注意を。また、UHD-BDの売りであるHDR機能を生かした高コントラスト映像を楽しむにはHDR入力対応の4Kテレビ/プロジェクターが必要となります。4K対応でもHDR非対応の製品はいくらかありますので、こちらもご注意ください。

    それでも、「ダイナミックレンジ変換」も搭載しているので、入力機器側がHDR非対応の場合でも、UHD-BDのHDR信号から独自のダイナミックレンジ変換を自動で行ない、高画質で再生することもできます。HDR非対応のテレビでは活用してください。

    HDMI出力は2系統装備。AVアンプなどが著作権保護技術のHDCP 2.2に非対応の場合でも、1系統をAVアンプに繋いで音声だけ出力、もう1系統をテレビなどに接続する使い方ができます。また、映像/音声信号を分離することで音質向上を狙うこともできます。光デジタル出力も1系統。アナログ音声出力はありません。

    映像レコーダーとしての機能は豊富で多岐に渡りますが、ここはオーディオサイトなので、詳しくは解説しません。初期設定が簡単に終了する「2ステップらくらく設定」を新採用し、番組表の表示も改善するなどの使い勝手の改善はなされています。

    さて、本機の注目ポイントはオーディオ面にもあります。

    CDの音源を内蔵HDDにリッピングする機能が前世代モデルから追加されました。しかも、FLAC対応です。1TB HDDの場合、最大CD 1150枚分の音楽を保存できます。

    さらに、DSDにも対応したハイレゾネットワークプレーヤー機能も搭載。e-onkyo musicのハイレゾ音源ダウンロード機能にも対応します。NAS/ホームサーバーとしても利用可能で、内蔵音源を「サウンドジャンプLink」機能を使い、家庭内の同一ネットワークにあるコンポなどで再生できます。音楽ファイルの対応形式はMP3/WAV/FLAC/AAC/DSD/ALAC。

    アナログ音声出力はないので、デジタル出力専用のネットワークプレーヤーとなります。HDMI出力時は最大で192kHz/24bit、光デジタル音声出力時は96kHz/24bitまで出力されます。DSDはPCMに変換しての伝送となります。

    また、パナソニックお得意のハイレゾ・リマスター機能も搭載。非ハイレゾ音源を、デノンのアルファプロセッサー、JVCのK2のようにアップコンバートと補完をしてハイレゾ相当にしてくれる機能です。

    音楽だけでなく、放送中や録画したテレビ番組、BD/DVD、YouTubeなどの音声もハイレゾ相当にアップコンバートし、最大192kHz/24ビットで出力してくれます。

    面白いのは、リマスター効果の「強/中/弱/切」が選択できるようになったこと。いずれも192kHz/24ビットで処理を行ないますが、アップコンバート時の高域・低域に対する補完量に違いがあるのだそうです。デノンのアルファプロセッサーにもこういう機能を付けて欲しいですね。あれは切ることもできないですし。

    デジタル出力専用のネットワークオーディオプレーヤーとして使えるのは面白いですし、ハイレゾ・リマスター機能も注目したいところです。ただ、どうしてもHDMI接続となると、AVアンプくらいしかうまい接続先がないです。

    今回、パナソニックでも、本機を生かす接続先として、同時発売でハイレゾ対応のサウンドバー・「DY-SP1」との組み合わせを推奨しています。本機の高度な内容を考えるともったいない感じですが、それだけハイレゾが身近になったとも言えそうです。

    しかし、広く一般の方は本機の高度なオーディオ機器ぶりに気が付くのでしょうか?逆にオーディオ愛好家はオーディオ機器としてはスルーしてしまいそうですが、それもまた違うような気がします。本機を生かして楽しむのもオーディオ愛好家の一つの姿だと思います。


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