ヘッドホン

    ゼンハイザーは、ドイツ・ベルリンで9月4日~9月9日に開催された「IFA 2015」において、密閉型ヘッドフォンの「HD 400シリーズ」の新製品3モデルを発表しました。上位モデルから順に「HD 471」、「HD 461」、「HD 451」で、価格は、HD 471が約99ユーロ、HD 461が約79ユーロ、HD 451が約49ユーロ。欧州では9月から秋にかけて順次発売。

    いずれも、アラウンドイヤータイプの密閉型ヘッドフォン。

    ネオジウムマグネット搭載のユニットを備え、HD 451/461は強力な低音、HD 471はバランスの取れた原音に忠実なサウンドを追求したとしています。

    従来機種からデザインを見直し、装着性も改善したとしています。また、ねじれに強いヘッドバンドを採用。ケーブルは片出しで、こちらもねじれに強いという改良点があるようです。

    HD 461/471は、ソフトなレザー調のイヤーパッドを採用し、長時間装着時の快適性を向上。両機種には、Android/iOS用のリモコンマイクを備えたモデルもそれぞれ用意。HD 471のみ3mのケーブルや、ステレオ標準変換プラグ、キャリングポーチも同梱。

    IFA2015では、国内メーカーではソニー、パナソニックの新製品ばかりが注目されているので、本サイトでは、少し目立たないあたりの製品をご紹介。

    ゼンハイザーもヘッドホン愛好家には重要なメーカーですが、IFAでは目立つような新製品を発表しなかっただけに、あまり話題になっていません。すでに発表はされていながら発売されていない密閉型フラグシップHD 630VBが少しは話題になるくらいでしょうか。

    それでも、この3機種の新製品を発表しましたが、日本のヘッドホン愛好家の間では特に話題になっていないようです。というのも安すぎるからでしょう。ゼンハイザーというと、HD598以上の価格の製品が人気で、あまりエントリークラスの機種が注目されることはない傾向なのも影響しているのしょうか。本シリーズはまた、開放型機種がメインとされてしまっているゼンハイザーにあって、安価な上に密閉型ということもあって、ますます影が薄いのでしょうか。

    オーディオ界の底上げには、これくらいのクラスの存在は重要なだけに、ゼンハイザーには、マニアには関わらず?このくらいの価格のシリーズの充実を今後も頑張って欲しいです。今回もおもに装着感や、機能性の向上が着実に見られるようですから、地道な努力は感じます。

    パナソニックは、ドイツで9月4日に開幕する国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2015」に先立ち、Technicsブランドの新製品を発表。新シリーズとなる「 Class G30」、オールインワンシステムの「OTTAVA Premium Class C500」シリーズなど多くのコンポを発表しました。アナログターンテーブルの新モデルも発表予定にもなっています。

    さらに、ヘッドフォン「EAH-T700」も発表。このヘッドホンについてご紹介。

    密閉型のオーバーヘッド機。大きな特徴は、中低域を担当する50mm径のダイナミック型ユニットに加え、14mm径のスーパーツイータも搭載した2ウェイ仕様になっている事。これにより、3Hz~100kHzまでのワイドレンジな再生ができるとしています。ハイレゾには十分な余裕。ハイレゾ対応ヘッドホンRP-HD10の上位機になるでしょう。

    振動板には新素材を200層に重ねたマルチレイヤーフィルムダイヤフラムをさらに改良したAdvanced MLF(マルチ・レイヤー・フィルム)ダイアフラムを、トゥイーターにはアルミ振動板を採用。

    自然な臨場感を実現するというために、ユニットには角度がつけられており、フローティング機構や振動を抑制するフレーム、強固なアルミハウジングなどを採用。また装着感を高める機構として、RP-HD10にも採用された水平スライド機構を本機も採用。イヤーパッドは人間工学に基づいた形状を持っています。

    ケーブルは着脱可能で、プラグ部は両端とも3.5mmステレオミニ。標準プラグ変換アダプターも付属。ケーブルは4N OFCの導体を採用。バランス接続にも対応するとのことです。

    ハイファイモデルである「EAH」を型番に冠したモデルは10数年ぶりということからも、本機にかける意気込みが伝わってきます。

    ダイナミックヘッドホンで2ウェイでワイドレンジ化といえば、パナソニックが元祖。ハイレゾという言葉も無かったころ(DVDオーディオのためだったので、意味としてはありましたが)で、あまり流行りませんでしたが、今や、ハイレゾ対応のためのワイドレンジ化は必須。ここにパナソニックのダイナミックヘッドホンで2ウェイが挑戦するのは当然でしょう。RP-HD10で物足りなかったパナソニック・テクニクスヘッドホンファンもこれで納得?

    また、今は流行のバランス接続にも対応。時代にしっかり対応。

    日本発売も価格も不明ですが、しっかりとしたポジションを築くことを期待したい機種です。

    ナイコムは、同社が取り扱う米GRADOのオープンエアー型ヘッドホン“Grado Heritageシリーズ”「GH1」を9月1日に発売すると発表しました。価格は84,500円(税抜)。

    GRADO社が存在するニューヨーク・ブルックリン地区のサンセットパークで育ったメープル材を、本体のエアチャンバー部に採用したというのが特徴で、売り物のヘッドホン。木材の産出量が限定されるため、限定販売。専門ショップのフジヤエービックとe☆イヤホン限定22台という少なさです。

    口径40mmのダイナミック型ユニットを搭載。ボイスコイルにはUHPLC(Ultra high purity long crystal)無酸素銅線を採用。総質量は約280g。 周波数特性は13Hz~29kHzで、チャンネルバランスは0.05dB、インピーダンスは32Ω。感度は99.8dB。

    ヘッドホンにメープル材を使用するのは、同社にとって初めての試みとのこと。

    GRADOのヘッドホンは、つい最近、国内価格が値上げされたばかり。本機も新発売ですが、はじめから値上げが反映されたような価格。どうやら本国では650ドルくらいのようです。

    面白い試みです。会社がある地域の近くのメープル材を使うというのは。

    もちろん、単なる思い付きや記念品、という意味ではなく、音質的メリットが見出せたからに他ならないでしょう。

    製造数が木材の産出量に依存するので数量限定となってしまうので、ヒットモデルにはなりえないのが残念です。一般的にはこのような価格のヘッドホンがたくさん売れるとは以前は思っていませんでしたが、最近のヘッドホンブームを見るに、10万円前後でもかなり売れることもあるからです。

    ただ、グラドのファンならずとも、これが限定というのは残念で、たとえば、マホガニーで、通常モデルを作って見る、ということはできそうです。商売のことを考えているののなら、そういう展開もあるかとは思いますが。さてどうでしょう。もしそうだとしても、当然、音も変わりますし、チューーニングも変えないといけないのでしょうけど。

    とはいえ、ベースモデルになっているのはグラドファンならRS2であるとわかるので、どれだけ新規開発的な部分があるのかも難しいところです。

    というより、RS2の限定商法、と悪く見る向きもあり、こんなことをしているよりも、装着感やフィット感の改善、リケーブ仕様品を出すなどの根本的なモデルチェンジ機を期待している人もいます。それだけ、期待されているブランドだということでしょう。

    根本的に変えると、音の面でも難しいのかもしれませんが、ぜひ、既存品をちょっといじっただけの限定商法?などに走らず、新製品の開発もお願いしたいですね。

    ハーマンインターナショナルは、AKGブランドから新「Nシリーズ」を発表。イヤホン「N20」「N20U」、ノイズキャンセリングヘッドホン「N60NC」を8月4日に発売すると発表しました。

    ■N20 ¥OPEN(予想実売価格14,880円前後)
    カラー:ブラック/ゴールド
    ■N20U ¥OPEN(予想実売価格15,880円前後)
    カラー:ブラック/シルバー
    ■N60NC ¥OPEN(予想実売価格29,880円前後)

    Nシリーズの「N」はドイツ語の「Neue(英語でnew)」に由来しているとのこと。「新世代」「革新」といった意味もこめられているそうです。洗練された素材とデザイン、AKGの音響技術を融合させた「全く新しいプレミアムシリーズ」とアピール。高音質と高品質、優れたデザイン性を兼ね備えるという方向性。

    今後AKGブランド製品は、プロ/プロアマ向けモデル中心の「Kシリーズ」、今回登場した「Nシリーズ」、そして「Yシリーズ」の3シリーズで展開していくとのことです。

    Nシリーズはマニア向けというよりは、一般ユーザーで、AKGは知っていて、使ってみたいという人で、それなりの予算もある、という人向けという感じでしょうか。マニア向けでなくとも安いとは言いがたいですから。

    「N60NC」はノイズキャンセリング機能を備えた密閉ダイナミック型ヘッドホン。直径40mmドライバーをアルミ製ハウジングに搭載。再生周波数帯域は10Hz~22kHz、インピーダンスは32Ω、感度は117dB。

    AKGには従来K490NCとK495NCというノイズキャンセル対応ヘッドホンがラインナップ、N60NCはその両モデルをリプレイスする機種という位置づけ。

    ノイズキャンセルは、騒音集音用マイクをハウジング本体外側に配置するフィードフォワード方式と、鼓膜に近いドライバーユニット側に配置するフィードバック方式の両方式を採用したハイブリッドで行う。独自のキャンセル信号回路と合わせて「AKG史上最も優れた騒音低減率を実現」したとアピールしています。

    バッテリーを搭載し、約30時間の連続使用が可能。NC機能をOFFにしても通常のヘッドフォンとして使うこともできます。

    独自の3D-Axis2機構を備え、小さく折りたたんで収納できる。専用キャリングポーチも同梱。アーム部分にレザー素材を使うなど、デザイン面で高級感を演出しているのも「Nシリーズ」らしさということでしょう。

    入力プラグは4極で、リモコンをケーブル途中に用意。スライドスイッチを備え、Androidスマホ向けと、iOS機器向けに、機能の切り替えが可能。ケーブルは1.2m。ヘッドフォン側は2.5mmのミニミニ端子を採用。ケーブルを省いた重量は150g。 小ささと軽さと高機能、高品位を実現している印象。ただ、いわゆるハイレゾ対応ではありません。それなりの周波数特性です。

    「AKG史上最も優れた騒音低減率を実現」というのをやたらと強く打ち出してアピールしているのが、各ニュースサイトの記事からうかがえます。おそらく、ライバルたるBOSEあたりを意識しているのでしょうが…。

    それでありながら、AVウォッチでのレビュー記事で、「驚くのは、NC機能のON/OFFでほとんど音が変わらない事だ。」「キャラクターやバランスの変化はまったくと言っていいほど無く、通常のヘッドフォンとしても安心して使えそう」「モニターライクなサウンドで、良い意味で昔ながらのAKGらしさを感じさせる」と、あまりNCの性能そのものには触れず、基本的な音質の良さばかり強調しています。NC機能については「静寂さが際立つ」とくらいしか書いていません…。ネットでもそこを突っ込まれています。

    一方、ファイルウェブでは、「その効果は、室内の空調のファン音は十分にキャンセルできるのはもちろん、地下鉄車内の走行音も低音をほぼ消し去り静寂を作り出すほど。」とあるので、それなりのNC効果はあるようです。

    「ただ、ノイズキャンセルをONにしても音質への影響がないことも、サウンド重視のヘッドホン好きとして評価したいポイント」とあるので、どうも、「音質重視でNC効果はそれなりのNCヘッドホン?」的な印象に見えます。

    いずれにしてもアウトドア用途には良さそうです。NCヘッドホンとしてのCPは気になるところです。 【AKG N60NC】の続きを読む

    ディーアンドエムホールディングスは、B&W初となるBluetooth対応ヘッドホン「P5 Wireless」を7月より発売します。オープン価格で51,500円前後での実売が予想。

    本機は従来機ヘッドホン「P5 Series2」をベースに、Bluetooth3.0によるワイヤレス再生機能を搭載。コーデックはaptX(Standard Latency)、AAC、SBCに対応。2つのマイクを搭載しており、通話にも対応。ハウジングに搭載されたボタンから音楽の再生・一時停止・スキップ、電話応答の操作も行えます。

    ドライバーについては、P5 Series2と同様に40mmダイナミックドライバーを採用。振動板にはナイロン・ダンプド・ダイアフラムを、マグネットにはCCAWコイルを用いているなども同様。デザインもP5 Series2を踏襲し、イヤーパッドやヘッドバンドにはレザー、アームやハウジングにはアルミニウム素材を用いています。

    充電式リチウムバッテリーを内蔵、1回の充電で17時間の再生が可能。充電は本体のUSB端子から、USBケーブル経由で行う。また、付属ケーブルを使っての有線での使用も可能(ヘッドホン側の端子は3.5mmステレオミニ端子)。P5 Series2と同様にリケーブルも可能ですが、専用ケーブルですので、P5 Series2用のケーブルを使うことになります。

    キルト・キャリングポーチ、ユニバーサルケーブル、充電用USBケーブルが付属。

    周波数帯域は10Hz~20kHz、インピーダンスは22Ω、歪率は<0.4%(1kHz/10mW)、感度は109dB/V at 1kHz。外形寸法は221H×73W×180Dmm、質量は213g。

    有線でも使えるBluetooth対応ヘッドホンですが、結構な価格で、ややヘッドホンマニア向けでしょう。リケーブルの幅の狭さも一層マニア向けな印象。有線でもハイレゾ対応でもないスペックなのは中途半端な印象も。B&WもBluetoothを無視できない状況なのもよくわかります。

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