LUXMAN_SQ-38u
過去に発売されていたオーディオ製品を紹介。LUXMAN SQ-38u ラックスマンの真空管式プリメインアンプ。36万円(税別)で2008年に発売。中古市場でも注目される機器です。

ラックスマンを代表する、そして日本を代表する真空管式プリメインアンプの代名詞的シリーズ・38シリーズ11代目牡の機種。1998年のSQ-38D(39万円)の後継機。

回路方式はドライバー ムラード回路で出力段はロシア・ソヴテック製の出力管「EL34」4本によるプッシュプル構成のUL接続で定格出力30W(6Ω時)を実現。使用真空管:EL34×4本、ECC83×5本、ECC82×2本 。

筐体に16mmのMDFにナチュラルな突き板仕上げを施した木箱ケース、フロントパネルには極厚の8mmアルミ板材を採用を採用したことによる、レトロなデザインも特徴。これこそが「38シリーズ」のポイントでもあります。シリーズ伝統となる、フルファンクションのノブレイアウトを採用。

インピーダンス切替付きの2段構成PK-NF型フォノ・イコライザーアンプ回路を搭載。フォノ入力はMM/MC high/MC lowに対応。MCカートリッジ使用時には内蔵のゲイン切替付きMCステップアップ・トランスを使用するなど、フォノ部への注力も大きな特徴です。

プリ部とパワーアンプ部が分離使用可能なのも拡張性があります。本機のパワーアンプ部だけを使って、プリにあえて最新のUSB-DACをつないでみるなど、いろいろと楽しめます。

サブソニック・スイッチと、モノラルレコード再生時に便利なモノラル・スイッチも備えます。トーンコントロール回路には、変化特性が滑らかで、うねりの少ないLUX方式を採用。

ヘッドホン出力端子も搭載。スピーカー端子も2系統。リモコンも搭載するので、現代的な操作性も身に着けています。

同時に本機とデザインコンセプトを合わせたCDプレーヤー・D-38uも発売されていました。アナログ出力を真空管回路と半導体回路から選択できる機能を備えていました。


LUXMAN D-38u コンパクトCDプレーヤー


さて、本機は2016年に38シリーズ12代目となる後継機・LX-380(46万円)が登場したため、完全に前機種となりました。生産はすでに終わっていたようです。

LUXMAN_LX-380
LX-380はずいぶんと内容が変わりました。寸法も変わっています。最大のポイントは、音量調節部にラックスマン・オリジナルの電子制御アッテネーター「LECUA」を真空管アンプ製品として初採用したこと。トーンコントロールも電子式になりました。フォノ部も SQ-38uほどには凝っていないようです。

回路にはムラード型のドライバー段とビーム管接続のファイナル段を採用。出力管にはエレクトロ・ハーモニクス社製6L6GCを、プッシュプル構成で搭載。ECC82 (12AU7)× 3本も使用。定格出力は20W+20W(6Ω)と随分変えました。長期間の安定性、メンテナンス性を意識した結果なのではないかと、愛好家の間では言われています。外形寸法は440W×197H×403Dmm、質量は17.6kg。

かなり違う内容なだけに、どちらが良いかは一概に言えませんが、SQ-38uは、フォノMCを重視する人には向いていると思います。手に入れるには新品はなく、中古になりますが。

38シリーズと言えば、出力トランス。オリジナル以来一貫してコア材にオリエントコア(方向性冷間圧延コア)が使われているOYトランスという分割巻きの特殊な捲き線技術を要する手作りの少数生産品が使われています。SQ-38uでも使用されているはずです。この供給ができなくなったときが、38シリーズの終焉でしょう。まだその日は来ないようですが、いつかは来るのでしょうか?